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【写真で解説】クレーン・高所作業車の使用例|特殊伐採
「高すぎて、とても人の手では切れない…」
「トラックも入れないような場所なのに、どうやって作業するの?」
特殊伐採の現場では、人力だけでは対応できない高木や難所が数多く存在します。そうした困難な状況を安全かつ効率的に解決するのが、クレーンや高所作業車といった重機です。
この記事では、それぞれの重機が持つ特性を活かした具体的な使用例を、作業写真のイメージと共にご紹介します。
1. クレーン車|「吊って、切る」圧倒的な安全性と効率
クレーン車を使った伐採は、特殊伐採の中でも特に大規模な現場で活躍します。その最大のメリットは、巨大な木であっても、まるでパーツを一つずつ外していくかのように、安全に処理できる点にあります。
この作業方法は「吊り切り(つりぎり)」と呼ばれます。
「吊り切り」作業の流れ
- 吊り上げる: クレーンのフックを、これから切断する幹や太い枝に掛けます。
- 切り離す: 作業員(アーボリスト)が木に登り、吊り上げた状態で幹や枝をチェーンソーで切り離します。
- 安全に下ろす: 切り離された部分はクレーンに吊られたままなので、落下することなく、安全な場所へ静かに下ろされます。
[作業写真1:クレーンで大木の幹を吊り上げ、作業員が切り離している様子]
こんな現場で活躍します!
- ケース1:住宅の屋根を越えて伸びてしまった大木
真下に家屋があり、枝を一本も落とせないような状況でも、クレーンで吊りながら切ることで、建物を傷つけることなく安全に作業を進められます。[作業写真2:家の屋根の上で、クレーンに吊られた枝が安全に移動されている様子] - ケース2:倒木の危険がある、枯れた巨木
枯れてもろくなった木は、人が登ると幹が折れる危険があります。クレーンで全体を支えながら作業することで、作業員の安全を確保しつつ、二次災害を防ぎます。 - ケース3:短時間での作業が求められる現場
人の手で少しずつ切り分けるよりも、クレーンで大きな塊として処理する方が圧倒的にスピーディーです。道路を通行止めにする時間を最小限に抑えたい場合などに有効です。
2. 高所作業車|「安定した足場」で確実な作業
高所作業車は、先端に作業員が乗るためのバスケット(カゴ)が付いた車両です。クレーンのように「吊る」ことはできませんが、作業員を安全に目的の高さまで運ぶことに特化しています。
最大のメリットは「安全な足場」
高所作業車を使うことで、作業員は揺れることのない安定した足場で作業に集中できます。これにより、より精密で安全な作業が可能になります。
[作業写真3:高所作業車のバスケットの中から、作業員が電線近くの枝を剪定している様子]
こんな現場で活躍します!
- ケース1:電線や通信線に絡まった枝の除去
非常に繊細なコントロールが求められる電線周りの作業では、安定した足場が不可欠です。高所作業車を使うことで、安全な距離を保ちながら慎重に枝を切り落とすことができます。 - ケース2:不安定な木や、込み入った枝の剪定
人が登るには危険なほど弱った木や、ツルが絡まって足場が作りにくい木でも、高所作業車であれば安全にアプローチできます。 - ケース3:クレーン車が入れない少し狭い場所
クレーン車ほど大きな設置スペースを必要としないため、中規模の現場で小回りの利く作業が可能です。
まとめ
特殊伐採におけるクレーンと高所作業車は、それぞれに明確な役割があります。
- クレーン車: 「吊る力」で、高木・大木を安全かつスピーディーに処理する。
- 高所作業車: 「安定した足場」で、作業員の安全を確保し、精密な作業を可能にする。
現場の状況(木の大きさ、周囲の環境、必要な作業時間)をプロの目で見極め、最適な重機を選択することが、安全で確実な特殊伐採に繋がります。